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土木じゃないドボク #006
2006 / 08 / 30 ( Wed )
土木マガジンズ その3 『基礎工』
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このlaudのblogにある「オレ土木」というのは、基本的に数名で街中を散策して、気になる土木構造物を見て、それがなんで面白いんだろうということを考えてみて、作文するというスタイルをとっている。
とくに私がかかわっているところでは、「アースダイバー」というベストセラー本にここのところかなり感化されているので、それをなぞるようにぐだぐだと考えようとしているが、アースダイバーとくらべて、その作文が極めて面白くないのは、どうしようもない。

アースダイバーでは洪積層と沖積層が複雑に入り組んだ東京都心部の地形の局所的な変化が規定する、縄文時代から変わらない都市空間の構造を読み解くということがそのテーマとなっている。

洪積世(正しくは第4紀更新世)とは200万年前くらいから1万年前くらいまでの間をいい、この時期に河川、湖沼、海底であったところに土砂が堆積し、その後隆起などをくり返して形成された地盤で、現在まであまり変化を受けていない地盤を洪積層という。
このとき陸地であったところには、富士、箱根の火山灰が降り積もり、いわゆる関東ローム層を形成して、台地となり、東京の豊かな森を形成していく。
いっぽう、たくさんの川や河口には上流で削り取られた土砂が堆積してゆき、そこに大小の平地が形成されていく。この平地が沖積層といわれる。

台地であるところは、概して地盤が良いため、縄文時代以降、古墳、寺社、城、屋敷など、大きな施設も問題なく構築されていく。いっぽう平野は、地盤が弱く河川の流路も定まらないことからか、あまり大きなものは建てられない。
このような事情が縄文から戦前までつづいたからか、東京には台地の間を入り組んで流れる川(いまはドブ川とか道)と台地(山手とかいわれるところ)が複雑にレイアウトされて、それが東京の都市構造を規定している。
しかし戦後になって、東京も大きくなりすぎてきたので、元来山手に建つべき重要な大規模都市施設が、低地にも進出しはじめる。
そのため、基礎杭を地中に打ち込んで、杭の上に構造物を構築する必要がある。そして、この基礎杭は、縄文時代以降に堆積した軟弱な地盤を掘りぬいて、その下にある洪積層の地層にその支持をとるのが一般的だ。
低地に建つ山の手のものと見まごうほどの立派なビルや高架橋などの施設は、その実、洪積層という山の手と同じ地層平面に支えられている。

杭という細い管を通して、縄文時代以来、東京を育んできた洪積層の力を、現代の過剰な都市活動を維持するための構造物の支えにする、というような喩えを考えたりしてと、杭基礎ってなんだかすげーと思ったりのだが、どうだろう。

ということで、今回紹介する雑誌が、この『基礎工』。
「土木・建築基礎工事と機材の専門誌」というキャッチコピーであるが、基礎は地盤との関係が強いためか、地盤と他構造物自体のトピックスにも手を広げており、「地すべり」(「地すべり」という雑誌がほかにある)、「トンネル」(「トンネルと地下」という雑誌がほかにある」などの報告も散見される。この件については議論が必要かもしれない。

ここで引っ張り出した基礎工は2005年4月号で、「既存基礎の再利用技術」を特集している。
1960年代の高度成長期の建築物が、寿命を迎えだすことから、上屋を解体、増築などすることで現在の商業的なニーズや各種基準に適合させる計画が数多くあるものの、上屋の解体に比べ、解体に伴う困難や問題の多い基礎構造物は、同平面の計画にはできるだけそれらを転用することが望ましい、という配慮がある。

報告のなかに大阪・梅田にあった「阪急ファイブ」の建て替えに関する記事がある。建て替えにより7階のうえに観覧車がある「ヘップ・ファイブ」というビルに生まれ変わったビルだ。
基礎を再活用することにより、すべての基礎を新設することに比べ、基礎工費でおおよそ4割の削減、排出二酸化炭素量は7割の削減となる。
構築全体に対する割合を考えるとこれは微々たるものかもしれないが、すこしでも、工費、環境負荷の低減を追求する姿勢が、信頼できる。

紹介される事例については施主への配慮からか建物名が明記されてないものが多いので、どれを読んでも具体的なイメージが湧きにくいが、自分が大阪にいたことがあり、多少馴染みのある物件の記事だったからか、興味がひかれ、意外と読むことができる。
馴染みのある建物が建て換えられても、その基礎は以前のまま、その土地にしっかりと根付いているものであることに想像をめぐらすことも、ちょっとだけ楽しい。

「基礎工」 発行 総合土木研究所,定価 1630円,創刊 1973年

laud 金谷健太郎
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